若松潮風®ブランディング
若松潮風®キャベツが誕生してから10余年が経過しました。
ブランド化の話を初めて聞いたときには、「なぜ若松キャベツではなく、若松潮風®キャベツなのか」という疑問もありました。当時、農産物のブランド化はまだ一般的ではなく、まさに手探りの状態でのスタートでした。しかし、立ち上げと同時に多くの問い合わせが寄せられ、ブランド化の有益性と必要性を実感。販促物の整備を進めるなど、試行錯誤を重ねながらブランディングを行いました。
その後、商標登録を行い、10年が経過した現在では、若松潮風ブランドと若松の農産物全体の認知度は大きく向上しています。
ただのキャベツではなく、ブランド化された『若松潮風®キャベツ』という存在が、販売単価を上げるだけでなく、品質やおいしさを保証するものとして信頼を得ることができました。この信頼が販路の拡大につながり、農家の収益向上にもつながってきていると思っています。
若松潮風®キャベツは、JA北九を通じた共同出荷により、単独の農家では実現が難しい広範なブランド展開を可能にしています。
JAの組織力とスケールメリットを活用することで、キャベツだけにとどまらず、若松全体の農産物の価値向上もしてきています。さらに、農産物が若松の特産品として広く認知されることで、北九州市全体のイメージにも良い影響を与えてきてます。これまで工業都市としての印象が強かった北九州市ですが、農産物ブランドを通じて「食」の魅力を発信する新たな一面が加ったと思います。
JAに対する意見や課題も多々挙げられていますが、個々では実現が難しい組織力を農家と職員が協力して活用し、ブランドを築き上げる方法は、今後も有効な手段の一つとではないかと思います。若松潮風®キャベツのブランド化を通じ、農業のブランディングがさらに重要な意味をもつことを再認識することができました。
農業を取り巻く環境は依然として厳しく、気候変動、人材不足、後継者不足など、解決すべき課題は山積しています。このような状況下で、農業を持続可能なものにするためには、ブランド化を通じた価値の向上が欠かせません。個人ブランドを確立するのか、共同出荷という形で力を合わせるのか、あるいはその両方を活用するのか。農家一人ひとりが自分たちの未来の農業について考え、選択することが求められています。
今後も若松潮風®キャベツと若松潮風®ブランドの価値をJAと生産者と協力し、高めていくことで、安定した持続可能な農業で、食の安定が図れればと思っています。